誌面連載記事

『ココロノオクスリ』VOL.32 他人と過去は変えられない

くるサーチ。2009.1~

心理療法の決まり文句とでも言うのでしょうか?
「他人と過去は変えられない。」というのがあります。
これは、交流分析理論を作ったエリック.バーン博士という人の名言です。
私は、お見事としかいいようのない名言だと思うのですが…。
交流分析では、人の悩みのほとんどが、他人との交流で起きるとしています。そしてその根源は過去への捕らわれと他者への欲求度の高さだといっています。

過去は、もうすでに起きてしまったことです。その時点で完結形ですよね、だから変えることはできません。「割れたカップを元に戻して!」これは不可能です。
そしてもう一個の意味は、過去は現在ではないということです。現在から未来はまだ始まっていない、つまりこれから作られるということ。

他人を変えるなんてことはできません。考えてもみてください。あなたの意思はあなたの行動を決定しますが、他人の行動を決定することはできないんです。そりゃあ、相手に「変わってほしい」とお願いすることはできるでしょう、でも、それを決めるのは相手です。
だったら、自分を変えるほうが手っ取り早くて生産的でしょう。

「他人と過去は変えられない。」これは言いかえると、「自分と未来は変えられる。」ということなんです。

過去に縛られ、他人の行動に振り回される人生なんて面白くないと思いませんか?
ところが、こういうことってとてもたくさん起きていますよね。その中で関係がどんどん膠着していくなんてほんとに日常茶飯事です。

「私が生まれたときには信号なんてなかったんだ、だから信号の使い方を覚えなくてもいい。私の渡る道を車が走っているのが悪いんだ。」
これって、まさに他人と過去を変えようと無茶をしていることになりますよね。
きっと赤信号で飛び出して死んでしまう。
だったら、信号の使い方を覚えて車といい関係を作ればいいじゃないですか?

さて、みなさん、ご自分の生活を振り返ってみませんか?
「ああだったら。」「こうだったら。」と、もう終わってしまった過去に縛られていたり、「あの人がこうだったらいいのに。」「あのひとが~~してくれない。」とかっていう不満を溜めたりしていませんか?