誌面連載記事

『ココロノオクスリ』VOL.3 なんでいつも人間関係で悩んじゃうのかな? ―心の仕組み、その1-

くるサーチ。2006.7~

私たち人間が社会的動物であることの意味。

私たちの目は外を見るためについています。私たちの耳は外界の音を聞くために外に向かって開かれています。私たちの皮膚は外界の温度や着ている衣服の感触を感じることはできても、自分の体温を感じたり、心臓の鼓動を感じたりすることはできません。そう、私たちの五感は、もともと外界の刺激を受け取るためにあります。自分自身を認識することはできないんです。
じゃあ、どうやって私たちはここに存在しているということを認識するのでしょう?
どうやってここが自分の居場所であると認識するのでしょう?
鏡に自分の姿を写しますか?それは左右が逆の、言ってしまえば虚像に過ぎませんよね。
私たちは生まれたときから、誰かに見られ微笑みかけられ、誰かになでられたり、さわられたりしています。そして、そういうアクションによって自分がここにいるということを認識していきます。はじめは、お母さんの優しい愛撫、そしておっぱい。優しい声や微笑。そういったものがあって、自分がここに存在しているということを認識し、そして、自分がそのアクション(刺激)を欲したとき、自分がはたらきかけて、例えば泣くとか、声を出すとか、手足をバタつかせるとか、そういう行動を使って相手のリアクションを誘発します。そしてそれが成功すれば、「あ、受け入れられた。私はここに居ていい。」という心の安定を手に入れることができるんです。
ということは、私たちは他者がいなければ自分というものを認識できないということです。
私たちは何を目的として他者との交流をするのでしょうか?
その第一の答えは、ここにあります。自分の存在を認識するということです。
そして、更にその交流によって私たちは成熟していきます。つまり、いろいろな場面での交流の中で自己を確立していくということです。
悲しいかな、人はどんなに悩んでも人間関係がなければ生きられないということなんです。